院長先生に言われた通り、下の階の霊安室へ行くと、兄に付き添うおふくろと義姉がいました。

 

兄は胃がんの末期により、52歳の若さで一生を終えてしまいました。

 

私は、【がん】という病気は、大切な家族をあっという間に奪ってしまう怖さを目の当たりにして、ガンに対して知識が無い事への無力感でただ唖然としながら無言の兄を見るだけでした。

 

 

私は兄よりひとまわり以上も歳を取りましたが、兄との思い出とともに生きています。

 

春は山菜採りに出かけ、

 

夏は海水浴と魚釣りに出かけ、

 

秋はキノコ採りに出かけ、

 

冬はスキーやワカサギ釣りに出かけたりと、私のそばにはいつも兄がいました。

 

 

これからも、私の心の中で兄は生き続けています。

 

 

【完】 笹野富美夫

 

兄への想い:胃がん末期闘病記