『残念ですが、お兄さんはお亡くなりになりました。当初の予定は余命3ヶ月と言われていましたが、それよりも1ヶ月延びて良かったですね。』という院長先生からの話しでした。
《何言ってんだ!1ヶ月延命出来たのは決して病院の治療ではない。》
私は心の中でとても腹立たしく感じていました。
抗がん剤はどの位の確率で効くのですか?
その時、私は院長先生にこんな事を聞いてみました。
『院長先生、抗がん剤というのはどの位の確率で効くのですか?』
すると院長先生は少しためらいながらこう答えました。
『100人に対して数人ですかね。』
当時、私はガンに対して全くと言っていいほど知識はありませんでした。
もちろん、抗がん剤はガンに効くものだと思っていました。
それが、【100人に対して数人】とい院長先生の話しに愕然としてしまいました。
と同時に、【抗がん剤はほとんど効かない】という現実も知ってしまいました。
『いろいろとお世話になりました。兄は今どこにいるのですか?』
『下の階(霊安室)にいます。』
私はお礼をして下の階(霊安室)に向かいました。