兄の検査を待っている間、やけに時間が長く感じました。

 

そんな中、看護師さんが押す車椅子に乗って兄が検査を終えて戻って来ました。

 

兄の顔を見るとかなり疲れたようでした。

 

 

検査結果について院長先生から話しがあります。

『院長先生から検査結果について話しがありますので、どなたか来て頂けますか?』

 

看護師さんにそう言われ、私が聞きに行く事にしました。

 

看護師さんに案内されながら院長先生の部屋へ行くと既に院長先生がいらっしゃいました。

 

 

余命3ヶ月で治療法はありません。

院長先生の話しはこのような内容でした。

 

『お兄さんの事は○病院(兄のかかりつけだった病院)の先生から話しを聞いています。病状については、こちらから入院先の病院の先生と電話で話しをしました。
早速ですが笹野さん、私どもの病院で検査をした結果、お兄さんの病状は前の病院の検査結果と同じでした。胃がんからリンパ、肝臓に転移しています。
結論を言うと余命宣告(3ヶ月)も同じで、治療法はありません。しかしその中でも最善は尽くして行きたいと思います。』

 

私は多少の覚悟はあったものの、すっかり気落ちしてしまい、ただ『宜しくお願いします。』と挨拶をして部屋を出るのが精一杯でした。

 

兄の検査結果を言い渡され、厳しい現実を突き付けられる

 

 

兄を病室へ連れて行き、帰宅

『胃がんからリンパ、肝臓に転移しています。結論を言うと余命宣告(3ヶ月)も同じで、治療法はありません。しかしその中でも最善は尽くして行きたいと思います。』

 

病院を変えれば兄は何とかなるのでは?と思っていた私に現実の厳しさを突き付けられた形で、そのまま兄と義姉が待つところへ戻りました。

 

兄には「この病院で治療を受ければ良くなる。」と院長先生が言っていたと胃ガンの病気を悟られない様、嘘の話しをしました。

 

義姉は、私の顔を見て兄の病状の厳しさを察したようでした。

 

 

その後、看護師さんの案内で入院病棟へ向かいました。

 

兄は自分のベッドを案内されると『疲れた。』と言ってすぐ横になりました。

 

義姉は、兄の入院に必要なものを整理して、『一旦私と家に帰ってからまた来るからね。』と兄に話しかけました。

 

私も『また来るから。』と兄に伝えてこの日は帰宅することにしました。

 

 

帰りの車中、私は義姉に院長先生からの話しを伝えました。

 

義姉は、今までの病院と違って感じも良く、綺麗だし、これからの兄を思うと私も病院を変えて良かったと思う、と私に言ってくれました。

 

『何とか希望だけは捨てないで頑張ろう。』

 

そんな会話をしながら自宅に到着。

 

義姉は早速入院に必要なものを届けるとのことで、そのまま別れました。

 

 

私はそのままおふくろの家に行き、兄は無事に病院に移れた事、しかしその病院の検査でも前の病院と同じく兄は胃がんの末期でもう治療法は無いと院長先生に言われた事をおふくろに伝えました。

 

 

それを聞いたおふくろは、『なんでガンなんかになってしまったのだろう。』と言いながら仏壇に手を合わせていました。

 

私は父、母、兄、の4人家族で育ちました。

 

父は兄が亡くなる更に9年前に肺がんで亡くなっていました。

 

そして今、兄が胃ガンの末期で治療法は無く、3ヶ月の余命宣告を受ける・・・、そんなおふくろを想うと、話す言葉が見つかりませんでした。